ブザンソン・タロット/Besançon Tarot
マルセイユ系タロットの亜種とされる、ブザンソン・タロット/Besançon Tarot、通称ブザンソン版。
最大の特徴は、「女教皇」「法王」の2枚がそれぞれローマ神話のジュピターとジュノー(ギリシア神話のゼウスとヘラ)になっている点でしょう。当時のキリスト教会が、男性であれ女性であれ札に描かれている司祭の姿が教会の権威を冒とくするものだとし、その種のトランプ等遊戯札に対して排除命令を出したため、メイカーは絵柄にさまざまな創意工夫をほどこすに至ったのでした。
ブザンソン版では、「魔術師」は主にストレートヘアで描かれているようです。カールしているタイプもありますね。「愛・もしくは恋する人」の天使はめかくしをしたキューピッド、「月」は正面向き等、おおむねドダル系統のマルセイユ・タロットの絵柄と一致している模様。
参考)スイス国立博物館所蔵 推定1700~1750年フランソワ・エリ/François Heri作とされているブザンソン・タロット
第五のアルカナ、ジュピター、9.3×5.7cm 22枚の大アルカナの内の一枚として紹介されています。原文をクリックすると美術館サイトへジャンプします。
以下はより後年、1800年台前半頃の、「戦車」に記載されている頭文字「F・J」もしくは「F・I」が作者名を示すものであろうことがうかがえますが、現状では作者不明とされているデッキの復刻作品です。
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