マンテーニャ・タロット/I Tarocchi del Mantegna 

Mantegna Tarots by Master Menegazzi 画像の権利はILMeneghelloに帰属します

Eグループ・・Conditions of Men/人間の階層について

十段階のヒエラルキー

 マンテーニャ版は、絵柄と札番号、序列という神秘のヴェールに包まれたタロットのその部分がきわめて整然かつ論理的な50枚のセットとして知られています。50枚の銅版画はすべてA~Eの5つのグループに分類され、そのアルファベットは札の左端に記され、右端にはⅠ~Ⅹのローマ数字が記載されています。Eグループの中で、「貧民」はⅠであり、Ⅹの「教皇」へと位階を上がってきます。

Dグループ・・The Muses and Apollo/アポロとムーサたち

 

アポロと彼が率いる9人のミューズ(=ムーサ/女神たち)

9人のムーサは「人間の知的活動をつかさどる女神」として知られており、皆ほぼ楽器を手にして描かれています。

額にしわ寄せて笛を吹き鳴らすものあり、澄まし顔ありとポーズもバラエティに富んだ女神たちです。50枚の中世版画絵札のおおよそ五分の一を占めるこれら女神軍団は総じて「女性の力」の集合体と言えそうです。

自由奔放な9人のムーサたちに対して、アポロが世界の命運について気苦労を被る神として、思い悩む表情で描き表されています。彼の右側には、なじみのある紋章が見られますが、具体的な意味は定かではないとのこと。


C グループ・・The Sciences and the Arts/学術と芸術

中世期の一般教養科目について

The Sciences and the Artsは科学と芸術と訳すことができますが、 ここでは中世期の一般教養にあたる科目の総称ととらえたいところとなります。中でも、7つのリベラルアーツが最も重要とされていました。

当時の人は、7つのリベラルアーツ、すなわち、文法、修辞学、論理学、算術、幾何学、音楽、天文学に獲得できるすべての知恵があるとし、網羅することによって自己を確立でき、その上にこそ神が存在すると考えたのです。アーツの頂点にあるものが哲学とされていました。多くの擬人像がやはり女性の姿でもって描かれています。



		
		

B グループ・・ The Ethical and Cosmological Principles/倫理と宇宙論

A グループ・・ The Planets and the Stars/天体

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マンテーニャ・タロット/I Tarocchi del Mantegna ” に対して4件のコメントがあります。

  1. nixay gnetna より:

    Amazonで解説本買いました。いつも精力的な執筆活動、大変参考になっています。「贋作」とはSシリーズのことなのでしょうか。
    「29 Astrologia 占星術」と「30 Teologia 神学」の挿絵が入れ違ってます。29 Astrogiaのカードの番号が「XXXVIIII 39」となっていますが、これは元々のミスプリなのでしょうか。

    1. user より:

      Sシリーズはどこで閲覧できますでしょうか? がん作というのは、ランデスペルダーはじめとするプロ絵師のレプリカのことで大英博物館のほうにあるのでしたらきっと。

      かつて同じ質問を送ってみたところ、「39に見えるが29なんですよ」と返されたことが。いかがでございましょうか?

      1. nixay gnetna より:

        Sシリーズは http://trionfi.com/mantegna/で見られます。
        29の件は、元々のミスプリの様ですね。

  2. user より:

    なるほど拝見いたしました。
    trionfi.comさんにはしばしば掲載情報について質問などさせていただいた過去も今も、お世話になっている次第でしたが、マンテーニャ研究は覗いておりませんでした。
    こちらに上がっている画像は検出されていたと思いますが、、
    まずは、原版と主張されているパヴィアの作品からと!

    当方の刊行物は、そのパヴィアの最古とされる原版についてのみですが、
    改めてマンテーニャ研究、広い視野が必要ということを勉強させていただいた次第です。
    版画というのは、作品をリプリントしながら広く流通させていくことが目的でしょうから、
    そういう絵画の商業文化的な側面も大いに興味があります。共に調べてまいりましょう!

    trionfi.comさんは英語圏の方のようですが、IlMeneghelloさんとオンラインでこれについて見解を述べ合っていただけるような機会が期待されますね。。
    双方、と言うか誰もが、ですが、独自の見解、自説を補強する資料のみの「我が王国」とならず、たがいに尊重し合って有意義な情報交換がなされてこそ、一歩進む、特にタロットの世界だと当方は考えております。
    今後とも何卒、宜しくお願い申し上げます!

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